
🍷 6月|複合的な味わいとワイン
──うま味・酸味・塩味が合わさった料理とワインの相性──
🔰 この回のテーマ
これまで5ヶ月間、「塩」「うま味」「酸味」「脂」「甘味」を個別に検証してきました。
しかし実際の料理では、これらの味が複合的に組み合わさることがほとんどです。
6月は、うま味・酸味・塩味が同時に存在する和食を中心に、ワインとの相性を探ります。
複数の味要素が絡み合う中で、ワインがどのように対応するかを観察しましょう。
🍽 実験セットの準備
🍴 用意する料理(3種類)
-
三杯酢の酢の物(わかめ・きゅうり)
└ 酸味(酢)+甘味(砂糖)+塩味の三重奏。 -
焼きナスの出汁浸し
└ うま味(だし)+塩味+素材の甘み。 -
鶏の南蛮漬け(ポン酢ベース)
└ 酸味(柑橘・酢)+うま味(だし)+塩味の複合。
📝 ポイント:単一の味ではなく、「複数の味が調和した状態」でワインとどう関わるかを見極めるのが目的です。
🍷 用意するワイン(3種類)
-
ソーヴィニヨン・ブラン(高酸・ミネラル系)
└ 酸味と塩味に対応しやすく、和食との相性も期待される。 -
甲州(日本固有品種・控えめな酸とうま味)
└ 日本の出汁文化に寄り添うように造られた品種。 -
ガメイ(軽めの赤・フレッシュ系)
└ 酸味があり、複雑な味に負けない程度の存在感。
📦 おすすめワイン
複合的な味わいの料理との相性実験に最適なワインをご紹介します:
おすすめ商品
楽天市場で甲州ワインを探す
🧪 テイスティング手順
-
各料理を単体で味見し、酸味・うま味・塩気のバランスを確認。
-
ワインを単体で試飲し、構成要素(酸、果実味、アルコール、ミネラル感)を把握。
-
料理とワインを組み合わせて試し、以下を観察:
- ワインの酸が料理の酸味に負けていないか?
- ワインの果実味が生きているか?
- ミネラル感や余韻の相性は?
📝 見落としがちなポイント:「温度」「食材の水分量」「酸の強さ」の差異にも注目しましょう。
💬 解説と考察
組み合わせ | よくある印象 | 理由 |
---|---|---|
三杯酢 × ソーヴィニヨン・ブラン | 爽やかでスッキリ | 酸味同士が調和し、ミネラル感が料理の塩味にリンク |
焼きナスだし浸し × 甲州 | 一体感があり心地よい | 出汁のうま味と塩気に、甲州の控えめな酸と苦味がうまく寄り添う |
焼きナスだし浸し × ガメイ | やや果実味が浮く | 赤系果実の香りと焼きナスの香ばしさがぶつかる場合がある |
鶏の南蛮漬け × ソーヴィニヨン・ブラン | 酸と甘みのバランスが崩れにくい | 柑橘・酢・だしに酸味が合い、ワインの清涼感が全体を整える |
鶏の南蛮漬け × 甲州 | 穏やかで日本的な調和 | 複雑な味に対して甲州の上品さが邪魔をせず、全体をまとめる |
✅ 複合的な味には、「どれか一つを受け止める」のではなく、「全体のバランスを崩さない」ワインが重要。
和食の繊細さには、主張しすぎないワインが活躍します。
🍳 レシピ例:鶏むね肉の簡単南蛮漬け
材料(2人分)
- 鶏むね肉:1枚
- ポン酢:大さじ3
- 砂糖:小さじ1
- 玉ねぎ(薄切り):1/4個
作り方
- 鶏むね肉を茹でて薄切りにする。
- ポン酢と砂糖を混ぜ、玉ねぎと鶏肉を漬ける。
- 30分ほど置いて味を馴染ませる。
📝 ポン酢には既に酸味・うま味・塩味が含まれているため、複合的な味を手軽に再現できます。
🔁 応用ワーク(2週間の活用)
ワイン | 応用料理例 |
---|---|
ソーヴィニヨン・ブラン | ポン酢サラダ、マリネ系、酢味噌和え |
甲州 | 茶碗蒸し、白身魚の煮付け、出汁巻き卵 |
ガメイ | 鳥の照り焼き(甘辛控えめ)、和風ハンバーグ、きんぴらごぼう |
🗝 複合的な味の料理には、「調和型」のワインが成功しやすい。
一つの味要素で勝負するのではなく、全体の流れに寄り添うワイン選びを心がけましょう。
✍️ 記録シート(巻末)
- 複数の味が混在する料理で、ワインはどう感じたか?
- 一つの味だけが浮いてしまった組み合わせはあったか?
- 和食とワインの相性について、どんな発見があったか?
🔜 次回予告:7月|香りとワインの相性
7月は「香りとワインの相性」がテーマです。
バジル、シソ、ニンニクなど、香りの強い食材がワインの香りとどう影響し合うかを検証します。
**「香りの調和」「香りの競合」**を体感し、嗅覚を使ったペアリングを学ぶ回です。お楽しみに。